各革の定義

人工皮革とは、当然ながら人の手によって作られた革のことです。すべてを人の手によって作られた革は疑いようもなく人工皮革ですが、では天然の布地を基材として科学的な改良を受けた革は人工皮革でしょうか?それとも天然皮革でしょうか?正解はどちらでもありません。天然の布地を基材として科学的な改良を受けた革は、合成皮革と呼ばれます。
人工皮革と呼ばれるためには、すべてを人の手によって作られている必要があるのです。中途半端に天然の布地が混じった瞬間、それは人工皮革ではなく合成皮革となるのです。

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人の手によって一から作られた人工皮革と、天然と人の手が混じった合成皮革は、二つ合わせて人造皮革と区別されます。つまり、人工皮革と合成皮革は細かい違いはあるものの、ジャンルとしては同じものだということです。それらの二つと根本的に違う革は、天然皮革だけです。天然皮革は文字通り、科学的な改良が加わっていない自然物を指します。どんなに上質な革でも、そこに科学的な改良が加わった瞬間に合成皮革となりますので、注意しておきましょう。つい二年程前から、親しい友人がレザークラフトにはまり作品作りに余念がありません。若い頃から彼女を知っていますが、正直に言って細かな手作業とは無縁のタイプでした。ですからそんな趣味を持つとは意外だったのです。けれど、新鮮でもありました。以前からパッチワークを趣味としていた私ですので、種目こそ違いますが何か共通の話題が出来るような気がして嬉しかったのです。しかし、彼女の熱心さは私の想像を超えるものでした。手芸品店に行ってもレザークラフト用の小物が置いてある場所から動こうとしません。互いに欲しい物を手に入れる為のお店巡りだった筈が、最後には必ず彼女の付き人と化していました。それでも次第にその時間は楽しいものに変わっていきました。色々な革の端切れを手に取る彼女の頬が紅潮しています。こんなにも夢中にさせる革の魅力は何なんだろうと思ったものです。
彼女の作品はブローチ・財布・小物ケースと増え続け、しまいには種類の違う革を縫い合わせたバッグも完成させました。しかもその初めての大物を私にプレゼントしてくれたのです。嬉しくて声も出ませんでした。今は小さなスペースですが知り合いの店に置かせてもらう迄に腕を上げた彼女です。そんな彼女の処女作品を手にして店を訪ねるのが私の楽しみになりました。

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